まだ乳歯ですが、受け口です。矯正治療は必要ですか?

東京護国寺駅の歯医者さん、ミューズ矯正歯科です。
今回のテーマは「子供の受け口の問題」です。
受け口とは上の前歯と下の前歯が逆になっていることで、反対咬合とも呼ばれる症状です。

受け口は歯並びの悪さや顔がしゃくれて見えるなど、見た目にかかわる問題が目立ちますが、実際には発音のしづらさや噛みにくさなど、口元や歯の機能的な部分にも支障をきたします。受け口の治療には矯正治療が必要ですが、乳歯の段階…つまり子供の場合は親が悩むケースが多いのです。

歯科医による見解の違い

子供の受け口を歯科医に相談した場合、その回答は歯科医によって異なります。歯科医によっては「様子を見るべき」と矯正治療を急がない歯科医もいれば、「できるだけ早く治療すべき」と矯正治療をすすめる歯科医もいます。

実際、インターネットで子供の受け口における矯正治療の最適な開始時期を調べると、情報の混在に戸惑うでしょうし、こうした見解の違いが親を悩ませる原因でもあります。ではなぜこうした見解の違いが生まれるのか?…その理由は2つ考えられます。

まず理由の1つ目は、受け口は自然に治る可能性があることです。乳歯で受け口の場合、前歯が永久歯に生え変わるタイミングで受け口が治ることがあり、そのため3歳くらいの子供の場合は「ひとまず様子を見る」をすすめるケースがあります。

もう1つの理由は、受け口を早期治療しても顎の骨の成長によって再び受け口になる可能性があるからです。とは言え、どちらの理由もあくまで「可能性がある」という予測の範囲に過ぎないことから、早急に治療すべきと回答する歯科医もいるのです。

受け口の最適な治療開始時期

一般論で言えば、子供の受け口の最適な治療開始時期は6歳~10歳までの間とされており、これは10歳を過ぎると上顎の成長がほぼストップしてしまうからです。6歳~10歳までの間で治療すれば、舌の運動を正しくさせて自然に顎の成長を促すことが可能です。

ちなみに、時期的には前歯が永久歯に生え変わるくらいの時期になります。とは言え、3歳で受け口の治療をすることが間違っているわけではなく、様々な歯科医の見解を聞き比べ、自分に合った治療の開始時期を考えるのが良いでしょう。

例えば、3歳頃からマウスピースによる受け口の治療をすれば、一般的に1年ほどの期間…つまり小学校入学前に受け口を改善できます。親として小学校入学前に子供の受け口を治療したいのであれば、この時期に治療を開始するべきですからね。

一方で、治療を急がず最終的に受け口を治療できれば良いと考えるのであれば、自然に受け口が治ることを期待しつつ、治らなかった時に治療すれば良いのです。ただし、どちらにしても10歳までに治療開始することを考えるべきでしょう。

受け口が引き起こす問題

受け口であることは決して病気ではないものの、治療しなければ様々な問題を引き起こす要因になります。例え大人でも、受け口になることで次のような問題が起こります。

肩こりや頭痛

受け口の状態だと噛み合わせが悪くなりますが、噛み合わせが悪いことで肩こりや頭痛が起こります。これは、噛んだ時に使用する広頸筋や側頭筋などの筋肉が悪影響を受けるためです。

顔全体の見た目が悪くなる

受け口によって見た目が悪くなるのは口元だけではありません。顎が変形していることで顔の輪郭が歪み、顔全体の見た目が悪くなってしまいます。

虫歯や歯周病になりやすい

受け口で歯並びが悪ければ、凸凹した歯並びのせいで歯が磨きにくくなります。このため歯磨き時に磨き残しが増えてしまい、虫歯や歯周病になるリスクが高まってしまいます。

口呼吸になる

受け口だと口呼吸になりやすく、口呼吸をすると口の中に乾燥した空気が直接入ります。このため口の中が渇きやすくなり、細菌が繁殖して口臭がするなどの問題が起こります。

受け口の要因になる癖

受け口になる要因としては骨格や遺伝的な要素がありますが、それだけでなく日常生活の中でついつい行ってしまう癖が要因になることもあります。例えば、舌で歯を押し出す癖があるとそれが受け口の要因になります。

例え矯正治療で受け口を改善したとしても、こうした癖が改善されていなければいずれまた受け口になってしまいます。癖が原因で受け口になった場合は、受け口と同時に癖の改善も意識しなければなりません。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、子供の受け口の問題についてまとめます。

1. 歯科医による見解の違い :様子を見るべきという意見と早く治療すべきという意見に分かれる
2. 受け口の最適な治療開始時期 :一般論で回答すれば、6歳~10歳までの間
3. 受け口が引き起こす問題 :肩こりや頭痛、顔全体の見た目が悪くなる、虫歯や歯周病になりやすい
4. 受け口の要因になる癖 :舌癖などによって受け口になる場合があり、その際は癖の改善も必要

これら4つのことから、子供の受け口の問題について分かります。受け口は永久歯に生え変わることで自然に治るケースもあるため、それまで様子を見られるのであれば3歳や4歳の時期から治療を考えなくても良いでしょう。

ただし、自然になるというのはあくまで一例であり、言ってみれば可能性の範囲でしかありません。このため、早く確実に治したいのであれば乳歯の時期からの矯正治療を行うべきですし、歯科医と相談した上で親にとっても子供にとっても自分に合った開始時期を考えれば良いのです。