どうして歯は動くの?

東京護国寺駅の歯医者さん、ミューズ矯正歯科です。
今回のテーマは「矯正治療で歯が動く理由」です。
矯正治療では、歯を正常な位置に動かして歯並びを改善します。

しかし、そもそも歯はどうやって動くのでしょうか。
折れることなく綺麗に歯が移動するのは、考えてみると不思議なことですよね。
そこで、ここでは矯正治療で歯が動く理由について説明します。

歯が動く仕組みとは

歯は歯肉から出ていますが、歯肉の中には歯を支えている骨があります。
そして、その骨と歯の根の間には歯根膜と呼ばれる膜があり、これがクッションの役割を果たしています。
矯正装置を装着して歯に力が掛かると、クッションである歯根膜にその力が伝わります。

例えば歯を右に動かそうとした場合、歯が動く方向となる右側の歯根膜は縮み、
引っ張られる形となる左側の歯根膜は伸びます。歯根膜は一定の厚さを維持しようとしますから、
そのため縮んだ歯根膜と伸びた歯根膜がそれぞれ動きを見せます。

縮んだ歯根膜は元の厚さに戻ろうとして、そのために必要なスペースを作るために骨を溶かす細胞を作ります。
一方、伸びた歯根膜は元の厚さに戻るために縮もうとして、そのために骨を作る細胞を作ります。
つまり、骨と溶かす細胞と骨を作る細胞…それぞれの働きによって歯槽骨は元の厚さに戻ります。

これが繰り返されることで、歯は少しずつ移動していくのです。

矯正の治療期間が長いのはなぜか

上記のように歯が動くなら、矯正治療はもっと早く終わるのではないかと思うかもしれません。
しかし、歯が動くのはスムーズに動いたとしても1ヶ月に1ミリ程度です。
また、歯は強い力を掛ければ動くわけでもありません。

仮に過剰な力で無理に歯を動かせば、歯の周囲の組織にダメージを与えてしまいます。
歯の周囲の組織にダメージを与えずなおかつ歯を動かすには、長い期間…2年や3年の期間が必要なのです。
当然、矯正の治療期間は歯並びの状態によって異なります。

凸凹した歯並びの場合は歯を大きく移動させなければならないため、治療期間も長くなります。
一方、そこまで歯並びが悪くなければ歯を大きく移動させる必要がなく、治療期間は短くなります。
ちなみに、矯正の治療期間は使用する矯正装置も関係してきます。

例えばワイヤー矯正は見た目の悪さが欠点であるものの、歯を動かす力は強く様々な症例に対応できます。

日常生活の過ごし方次第で歯は動く

歯を動かす手段は矯正治療だけではありません。
歯が動く悪い例を紹介すると、日常生活の過ごし方次第でも歯は動きます。
例えば舌で歯を押し出すクセがある人は、そのクセが続くことで歯が動きます。

歯が動くだけの力が掛かるポイントは、瞬発的なものではなく継続的なものです。
極端な話、指に力を掛けて歯を押した場合と舌クセで長期間押した場合、
これらの力の掛け方を比較すると歯が動くのは後者です。

つまり、日常生活のこうしたクセが原因で歯並びが悪くなることがあるのです。
舌クセ以外にも頬杖、食いしばり、うつ伏せ寝、指しゃぶり、口呼吸などは歯並びが悪くなる原因であり、
例え矯正治療で歯並びを改善してもクセによって再び歯並びが悪くなるケースもあります。

また、こうしたクセや習慣は歯並びだけでなく噛み合わせも悪くさせてしまいます。

歯並びの悪さで起こる問題

「歯並びが悪い=口元の見た目が悪い」のイメージがありますし、確かにそれは事実です。
しかし、歯並びの悪さによって起こる問題は見た目のことだけではありません。
歯並びが悪いことで、次のような問題が起こります。

・虫歯になりやすい
歯並びが悪ければ歯磨きがしづらいため、歯磨きの精度が落ちます。
歯並びが良い人に比べるとプラークが残ってしまい、そのため虫歯になるリスクが高まります。

・頭痛や肩こりが起こる
歯並びが悪いということは噛み合わせも悪いということです。
そして、噛み合わせが悪いと噛む筋肉である側頭筋や広頸筋が悪影響を受け、頭痛や肩こりを引き起こします。

・顎関節症になりやすい
歯並びが悪く、噛み合わせも悪い場合に起こる問題です。
顎関節症は歯並びが悪い人だと発症しやすく、さらに重症化しやすい傾向があります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、矯正治療で歯が動く理由についてまとめます。

1. 歯が動く仕組みとは :歯根膜が作り出す骨を溶かす細胞と骨を作る細胞の働きによるもの
2. 矯正の治療期間が長いのはなぜか :歯の周囲の組織にダメージを与えずに動かす必要があるため
3. 日常生活の過ごし方次第で歯は動く :舌クセなどで歯は動き、歯並びを悪くさせてしまう
4. 歯並びの悪さで起こる問題 :虫歯になりやすい、頭痛や肩こりが起こる、顎関節症になりやすいなど

これら4つのことから、矯正治療で歯が動く理由について分かります。
まとめとして歯を動かした後…つまり矯正治療後のことについてお話すると、
動かした歯は時間を掛けて元の位置に戻ろうとし、これを後戻りと呼びます。
このため矯正治療後は後戻りを防ぐため、保定装置を装着して対処します。